医療法人公仁会 中長期計画
はじめに
医療法人公仁会(以下「法人」という。)は、民間医療機関として効率的な運営を行いながら、急性期・回復期医療、救急医療、在宅医療をはじめとして、地域に必要な医療を継続して提供する重要な役割を担ってきた。
令和5年(2023年)からは老朽化の進む病院建物の建替え計画の検討に着手し、全部署一丸となった協力体制の元で基本構想の策定を開始した。当計画期間においては、建替え後の新病院における充実した医療の提供のために、職員の資質向上と組織体制作りを推し進め、医療の質の向上を目指す必要がある。
団塊の世代が全て75歳以上となる令和7年(2025年)が目前に迫る中、既に減少に転じている西播磨地域の人口変動に対応し、多様化する医療ニーズに応じて、近隣医療機関との連携により切れ目のない医療提供体制の構築を目指すとともに、団塊の世代が85歳以上となる令和17年(2035年)も見据え、地域の中核病院として今後の医療需要の変化に応えていく必要がある。
高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自立した日常生活を営むことができるよう、地域における在宅医療や介護事業所との連携の重要性は一層高まっており、近隣病院や地域の診療所の支援、連携を更に推進しく必要がある。
また、新型コロナウイルス感染症をはじめとした新興感染症の発生時や、近年頻発する災害発生時においても、関係機関と連携しながら可能な範囲で医療の提供を維持する必要がある。
法人が医療環境への変化に対応しながら、これらの取組を確実に実施し、地域に密着した病院としての役割を果たすためには、安定的で効率的な病院運営が欠かせない。そのためには、更なる経営改善に不断の努力をもって取り組まなければならない。
令和6年(2024年)に病院機能評価を受審するにあたり、様々な面での業務見直しを経て当計画時期を迎えており、今後はその機能を維持存続し、より充実したものに更新していく必要がある。
これらを念頭に、引き続き「今あなたに必要な病院へ」のミッションの下、ビジョンに基づいて達成すべき業務運営の方針として、「医療法人公仁会 中長期計画(2024~2027年度)」を策定する。
第1 目標期間
第2 ビジョンに基づく業務運営方針
- (1)私たちは質の高い医療をやさしく安全に提供します。
- (総論)
姫路市南部の飾磨地区の中核病院として、必要とされる医療を提供できるよう専門性を発揮するとともに、医療の質向上に努め、入院診療における基準(入院診療計画、院内感染防止対策、医療安全管理体制、褥瘡対策及び栄養管理体制、意思決定支援及び身体的拘束最小化)について確実性を持って取り組む。また、患者満足度を上げるため医療サービスの向上に取り組む。- ① インフォームド・コンセント、セカンド・オピニオンの充実など患者に寄り添った良質な医療を提供することにより、選ばれる病院を目指す。
- ② 救急医療の更なる充実に向け、二次救急の対応強化に向けた体制整備を行う。
- ③ クリティカルパスの活用を促進し、医療の質の向上に努める。
- ④ 専門外来を充実させ、患者ニーズに沿った診療を行う。
- ⑤ 兵庫県認知症疾患医療センターとしての機能と役割を充実させるための体制作りを行う。
- ⑥ 安心安全な医療を提供するため、医療の安全管理を確保する体制を整備するとともに、定期的な医療安全管理研修等により意識向上を図る。
- ⑦ 新興感染症等の感染拡大に備え、必要な備品を確保するとともに平時から感染管理体制の構築と関係機関との連携体制の確保等を図る。
- ⑧ 患者の状態像に応じたリハビリテーションを手厚く行い、早期の在宅復帰を支援する。
- ⑨ 各委員会の体制と活動内容の充実を図り、医療の質向上、安全性の向上、病院運営への反映に繋げる。
- ⑩ 健診、人間ドッグのニーズを掘り起こし、予防医療に尽力する。
- ⑪ 職員の接遇向上、院内の快適性向上及び待ち時間の短縮など、サービス向上に取り組むとともに、療養環境の向上に努める。
- (2)私たちは誇りを持てる病院つくりを行い、チーム医療・臨床研究を推進します。
-
(総論)
医師をはじめとする医療スタッフが、それぞれの専門性のもとで高い知識と技術を発揮し、互いに理解し目的と情報を共有して、連携・補完しあい、患者の望む生活を実現するためのチーム医療を推進し、より誇れる病院つくりを目指す。- ① 医療の質を高めるため、医師をはじめ医療スタッフなど多職種で編成したチーム医療の更なる充実を図る。
- ② 医療法や関係法令を遵守のうえ、行動規範と医療倫理に基づく適正な病院運営を行うとともに、個人情報を保護することの重要性を認識し、その管理を徹底する。
- ③ 誰もが利用しやすい病院を目指し、職員の接遇向上、待ち時間の短縮など、すべての来院者の視点に立ったサービス向上に取り組む。
- ④ インフォームド・コンセントの充実など患者・家族に寄り添った、より良質な医療を提供することにより患者に信頼され、選ばれる病院を目指す。
- ⑤ スタッフのより高い専門性と知識向上のための自己研鑽として研修参加や資格取得を推奨する。
- ⑥ 常に業務改善と質の向上に取り組み、定期的なQC活動発表や啓発による意識の向上を図る。
- (3)私たちは地域医療、介護にかかわるすべての機関と協力しこれに貢献します。
- (総論)
地域の医療機関との機能分担・連携を推進し、地域包括ケアシステムの充実に向け、地域の関係機関との連携を強化し、切れ目のない医療・介護・福祉サービスが提供できるよう努める。- ① 急性期病院からの転院依頼は積極的に受け入れ、後方支援病院の役割を担う。
- ② 介護施設からの要望に応じ積極的に受け入れを行い、医療介護連携の強化を目指すとともに、顔の見える関係作りを行い、安心して退院できる環境を作る。
- ③ 患者の状態に応じた医療を効果的・効率的に提供するため、紹介・逆紹介の徹底や在宅医療の支援など、地域の開業医や医療機関との機能分担を図りつつ、連携を更に推進する。
- ④ 在宅医療に係る関係機関との連携を強化し、入院患者が円滑に在宅療養に移行できるような退院支援を行うこと。
- ⑤ 在宅療養者の一時的な受入れを行うなど、在宅医療の後方支援を積極的に担うこと。
- ⑥ 地域の医療機関を対象とした症例検討会の継続的な開催のほか、地域の医療従事者を対象に研修会を開催するなど、地域医療に携わる医療従事者を支援する。
- ⑦ ホームページや広報誌の見直しと充実を進め、地域の関係機関、患者・家族に対してより分かりやすい情報を適宜発信する。
- (4)私たちは病院職員が幸せになるように努めます。
- (総論)
働きやすい職場作りを行い、職員満足度を向上させることによる人材の定着率向上を目指す。不足人材の確保をタイムリーに行い、勤務体制の見直しやタスクシフトに取り組み、職場環境、職場安全管理に注力し、職員の安全と健康を守るとともに、福利厚生の充実を図る。- ① 医療職の人材確保、人材育成に努め、人材不足による業務の停滞や残業増加の発生を抑止し、働きやすい職場作りを目指す。
- ② より客観的で公正な人事評価制度を構築し、給与制度への反映を図る。
- ③ 時間外削減と有給休暇取得を促進し、働きやすい環境の整備を図ることにより働き方改革の趣旨に沿った勤務を推奨する。
- ④ 医療DX、ICTなど先進的で効果的なシステム導入を検討し、業務負担軽減を目指す。
- ⑤ 効果の期待できるメンタルヘルス対策に取り組み、職員の休職や退職の抑制を図る。
- (5)私たちは継続性のある健全な病院経営に努めます。
- (総論)
人口減少に転じている西播磨地域では、病院経営を取り巻く環境は大きく変化していくことが考えられる。計画に着手した病院建替えを実現するには当計画期間内に安定した経営基盤を確立することが不可欠である。全職員が業務効率化と支出削減に取り組み、病院運営においてはより効率的で迅速かつ柔軟な経営判断のもと、あらゆる経営改善に取り組む。- ① 具体的な年次事業計画を策定し、計画値との比較と分析を行い、対応策を検討実施する。
- ② 診療報酬改定や関係法令改正に対して十分な検討を行い迅速に対応する。
- ③ 患者確保と診療単価増加のための取組みについて関連部署間で情報を共有し検討を進める。
- ④ 未収金の発生予防と早期回収への取組を推進する。
- ⑤ 減点の削減と防止に向けて医師・医事課にて積極的に取り組み情報を共有する。
- ⑥ 医薬品や消耗品等の在庫管理の適正化を進めるとともに材料費の適正化を図る。
- ⑦ 委託契約や点検費用など契約内容と金額を適宜見直し適正化を図る。
- ⑧ ネットワーク・セキュリティの安全性を確認し見直しと更新を実施する。
- ⑨ 人員の適正配置や労働生産性の向上などにより、人件費・経費などの適正化を図る。
中長期計画は、経営戦略会議承認の上で作成・公表し、見直しや評価は必要に応じて経営戦略会議において実施する。
令和6年度(2024年度)重点目標
- 1、部門計画の達成に向けて各自が理解を深める
- 2、病院機能評価受審を機に各部門の業務標準化とマニュアル整備を進める
- 3、診療報酬改定への対応を定着させる
- 4、患者サポート体制を充実させるための情報共有と業務整理を進める