令和4年度 医療法人公仁会　姫路中央病院 病院指標

内科の入院患者さんは65歳以上の高齢者が多く、加齢により体の機能が低下することで起こりやすくなる誤嚥性肺炎や心不全が多くなっています。
高齢の誤嚥性肺炎の患者さんは入院期間が長期化傾向にあるので、退院調整が必要な患者さんには当院の地域包括ケア病棟へ転棟して頂いた上で、リハビリテーション科・ソーシャルワーカー等のチームで退院支援をしています。そのため当院の平均在院日数は全国平均と比較すると長くなっています。

外科では、大腸疾患、胃・十二指腸疾患、胆石、鼠径ヘルニアなどを中心とした、一般外科・消化器外科の治療を行っています。
中でも最も多い疾患は、大腸ポリープや大腸腺腫です。消化器内科と協力して消化管内視鏡検査も多数行っており、上部、下部合わせて令和4年度は約7,300件の検査を行いました。
また、鼠径ヘルニアや大腸癌については、低侵襲手術として腹腔鏡手術を積極的に行っています。腹腔鏡手術のメリットとして傷が小さい、痛みが少ない、感染症のリスクが低い等が挙げられます。
他には、癒着性イレウスや憩室炎等の治療も行っています。

整形外科では、胸・腰椎疾患、リウマチ、関節疾患、外傷疾患、神経疾患などを中心に治療を行っています。
中でも脊椎骨粗鬆症性の脊椎疾患と大腿骨の近位部骨折が多い疾患となっています。
これらの疾患は経過によっては寝たきりになり、介護する人にも大きな負担になります。これを防ぐためにも積極的な手術と術後早期よりリハビリを行っています。また必要な患者さんには回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟へ転棟して頂き、在宅復帰に向けて十分なリハビリテーションや治療を受けて頂いています。
当院では、重症患者さんの手術からリハビリテーション、さらに地域包括ケア病棟を経ての在宅復帰支援、在宅療養の支援まで手厚いケアを行っています。このため当院の平均在院日数は全国平均より数値としては長くなっています。

脳神経外科では、脳血管障害（くも膜下出血、脳出血、脳梗塞など）、原発性および転移性脳腫瘍、頭痛、顔面痙攣、特発性三叉神経痛、てんかん、脊髄・脊椎疾患などの治療を行っています。
脳梗塞に対しては、発症後早期に抗血栓あるいは抗凝固療法、また適応症例にはtPAによる薬物治療を行うと同時に、入院早期よりリハビリテーションによる治療を行っています。脳梗塞や慢性硬膜下血腫等、長期間のリハビリ継続が必要と判断した場合は回復期リハビリテーション病棟へ転棟して頂き、在宅および社会復帰に向けて集中的なリハビリテーションを提供しています。
また、退院後に自宅や施設での生活に支援準備が必要な患者さんには、地域包括ケア病棟を利用して退院に向けての調整を行っています。このため当院の平均在院日数は全国平均と比較すると長くなっています。
他には、パーキンソン病を主とした不随意運動に対する機能的手術も行っています。

神経内科ではパーキンソン病、多系統萎縮症、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症などの神経難病疾患から、脳梗塞、認知症、てんかん、頭痛など幅広い神経疾患の治療を行っています。平成30年10月に兵庫県より認知症疾患医療センターに指定され、認知症専門外来（物忘れ外来）を開設しています。また脳血管障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかんといった疾患に対してはSPECTを用いて早期診断が可能です。さらに頭痛・筋電図の専門外来を設け、より専門的診療を提供しております。
また、必要な患者さんには急性期治療後に回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟へ転棟して頂き、社会復帰に向けたリハビリテーションや在宅復帰に向けた支援を行っています。このため、当院の平均在院日数は全国平均と比較すると長くなっています。
さらに在宅医療が必要な方には、患者さんの情報を共有しながら訪問診療・訪問看護の提供を行っています。

消化器内科では消化管の悪性腫瘍や良性腫瘍に対して患者さんの負担が少ない内視鏡的手術であるESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)やEMR(内視鏡的粘膜切除術)の手術を提供しています。胃や大腸、食道の悪性腫瘍、ポリープや大腸腺腫の早期発見にも努めており、数多くの内視鏡検査や手術も行っています。
検査は特殊光による観察、拡大観察が可能な最新の内視鏡機器を用いて行っており、経鼻内視鏡も使用しています。
また、胆管結石や胆管炎、憩室炎等の治療も行っています。
当院には外科もありますので、手術適応になった患者さんでも早期に対応することが出来ます。

当院は内視鏡検査を数多く行っているため、早期癌を含む大腸ポリープ切除術が多くなっています。
また、鼠径ヘルニア手術や胆嚢摘出術、大腸や胃の悪性腫瘍切除術等、腹腔鏡手術が適応と考えられる症例に対して腹腔鏡手術を行っています。
特に鼠径ヘルニアの手術については臍内部の1個の小さな切開創(2cm以下)のみで行う腹腔鏡手術(単孔式TEP法)を行っています。中、西播磨地域では当院だけが導入している術式です。

大腿骨の骨折などの観血的手術や人工関節置換術が多く、寝たきりを予防するためにも積極的に手術を行っています。リハビリは術後早期より開始しADL(日常生活動作)の向上を目指しています。腰椎圧迫骨折や胸椎脱臼骨折に対しての脊椎固定術も行っています。また手根管症候群に対しての手根管開放手術も積極的に行っています。
リハビリが必要な患者さんには回復期リハビリテーション病棟に転棟して頂き、集中した治療を受けて頂いています。

高齢者に多い慢性硬膜下血腫の穿孔洗浄術が多くなっています。これは確実に治癒が見込める疾患なので積極的に治療を行っています。
パーキンソン病やジストニアなどの不随意運動症に対する外科的治療（刺激術、神経核破壊術）を行っており、機能的定位脳手術や脳刺激装置の交換や埋め込みも行っています。
また、脳腫瘍の開頭術や顔面痙攣・三叉神経痛の微小血管減圧術も行っています。

消化管の悪性腫瘍や良性腫瘍に対してESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)やEMR(内視鏡的粘膜切除術)の手術を多く行っています。
CSP（コールド・スネアー・ポリペクトミー）も行っており、令和4年度は約970件行っています。
当院のみの対応が困難な症例については、神戸大学と連携し治療を行っています。
また、総胆管結石症等に対してEST(内視鏡的乳頭切開術)や結石除去術も行っています。
内視鏡的治療の適応を外れた患者さんの手術に関しては当院の外科と連携し対応をしています。